「痛くないのに行く意味があるのか」。定期検診をお勧めすると、よくそう言われます。もっともな疑問だと思います。ここでは、当院が3〜4か月おきをお勧めしている理由と、その45分で実際に何をしているのかをご説明します。
なぜ痛くないうちに来るのか
むし歯も歯周病も、痛みが出るのはかなり進んでからです。歯の内部には神経が通っていますが、そこに届くまで穴が深くならないと痛みは出ません。歯周病にいたっては、骨が半分近く失われても自覚症状がないことがあります。
削る量が変わります
初期のむし歯であれば、削る範囲は数ミリで済み、詰め物も小さなもので終わります。ところが神経に達してからでは、神経を取り、土台を立て、被せ物をかぶせる流れになります。通院回数は2回が5回になり、費用も数倍に増えます。
歯の寿命が変わります
神経を取った歯は、栄養が届かなくなるため、もろくなります。数年後に割れて抜歯になることも珍しくありません。削らずに済ませることが、その歯を長く使うためのいちばん確実な方法です。
定期検診で行うこと
当院の定期検診は45分です。内訳は次のとおりです。歯石を取って終わり、ではありません。
- 問診前回からの変化をうかがいます。しみる、詰まる、といった小さな違和感が手がかりになります。
- むし歯の確認1本ずつ目視と器具で確認します。必要に応じてレントゲンを撮ります。
- 歯周ポケットの測定1本につき数か所、深さを測ります。数値は記録し、前回と比べてお見せします。
- 歯石の除去歯ぐきの上と、浅い部分の中の歯石を取ります。量が多い場合は複数回に分けます。
- 歯面の清掃専用の器具で着色と歯垢を落とします。
- 磨き方のご案内磨けていない場所をお見せして、その方に合った当て方をお伝えします。
- 次回のご案内状態に応じて、次にお越しいただく時期をご提案します。
このうち、いちばん時間をかけているのは歯周ポケットの測定と、磨き方のご案内です。数値が前回より改善していれば、その方法が合っているということです。改善していなければ、別の当て方を一緒に探します。
何か月おきが適切か
「半年に一度」とよく言われますが、当院では一律にはお伝えしていません。歯石のつきやすさ、歯周ポケットの深さ、磨き方の習熟度によって、適切な間隔は変わるためです。
| お口の状態 | 推奨する間隔 | 理由 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 歯周ポケットが4mm以上ある | 1〜2か月 | 歯石が深いところに再付着しやすいため | 治療の一環として保険適用 |
| 歯石がつきやすい | 3か月 | 唾液の性質により、3か月で目に見える量が戻るため | ご自身では取れません |
| 安定している | 3〜4か月 | むし歯が進行しても、この間隔なら小さく済むため | 当院の標準です |
| 治療中の被せ物・入れ歯がある | 3か月 | 境目に汚れが溜まり、内側で進行しやすいため | 不具合の早期発見も兼ねます |
上表は目安です。実際の間隔は、検査の数値をお見せしたうえでご提案します。ご都合が合わない場合は、通える範囲で調整します。
間隔が空いてしまった方へ
何年空いていても構いません。責めるようなことは申し上げません。久しぶりの方には、まず現状を確認し、急ぐところだけをお伝えします。全部をその場で決めていただく必要はありません。
お子さまの場合
生え変わりの時期は、むし歯になりやすい場所が変わります。3〜4か月おきに確認し、そのときに気をつけていただきたい場所をお伝えしています。フッ素塗布も同じ間隔で行えます。
家でできること
定期検診で取れるのは、すでについてしまった歯石と着色です。それがつく速さを決めるのは、毎日の手入れのほうです。
- 歯ブラシは、力を入れず、毛先が広がらない程度の圧で当てます。強く磨いても汚れは落ちません。
- 歯と歯の間は、歯ブラシだけでは6割ほどしか落ちません。フロスか歯間ブラシを併用してください。
- 夜の1回だけは、時間をかけて磨いてください。就寝中は唾液が減り、細菌が増えやすくなります。
- 間食の回数を減らすほうが、量を減らすより効きます。口の中が酸性になる時間が短くなるためです。
- フロスで出血する場所は、汚れが残っている場所です。避けずに、やさしく続けてください。
どれも当たり前のことですが、実際にできているかは別の話です。検診のたびに、磨けていない場所をお見せしています。指摘されると、そこだけは意識して磨けるようになる方が多くいらっしゃいます。
まとめ
定期検診の目的は、歯石を取ることそのものではありません。悪くなりかけている場所を、削らずに済む段階で見つけることです。そのために必要な間隔が、多くの方で3〜4か月というだけのことです。
通院が難しくなった場合も、訪問歯科診療で同じ内容を続けられます。通えるうちも、通えなくなってからも、間を空けずに診ることを大切にしています。


